2025-11-30...

Google AntigravityとMCPで、GA4分析をIDEに統合

Shuichi Nakayama
Shuichi Nakayama

「Model Context Protocol (MCP)」を使って、Google Analytics 4 (GA4) のデータをAIエディタから直接扱えるようにしてみました。 「ブラウザで管理画面を開くことなく、IDE上のチャットでサイト分析からコード修正まで完結する」という流れを体験したかったので、実際にやってみた導入手順と活用例の一部をまとめます。

技術選定:なぜMCPとGoogle Antigravityなのか

今回は、Google Antigravityと、公式のアナリティクスMCPサーバーを使ってみました。

  • Google Antigravity (IDE): Gemini 3 Proが利用でき、Googleエコシステムとの親和性が高いため。
  • Google Analytics MCP Server: 公式の接続ツール。これを利用することで、AIがGA4のAPIを叩けるようになります。

事前準備:必要な環境とツール

今回はPythonツールを使用するため、Python環境が必須となります。

  • uv:
    • Python製のツールを高速に実行するための管理ツールです。これ一つあれば、裏側で必要な Python の準備からツールの実行まで自動で行ってくれる ため非常に便利です。
    • 設定ファイル内で
      uvx
      というコマンドを使うためにインストールします。
    • インストールコマンド(Mac/Linux):
      curl -LsSf https://astral.sh/uv/install.sh | sh

通常のGA4分析と、MCPによる分析は何が違うのか?

MCPを通じた分析が、単なるデータ閲覧と異なるポイントを3つにまとめると。

1. 「要因」と「対策」がセットで出てくる

通常のGA4レポートは「結果(数字)」を表示するツール。 一方、MCP経由であれば、「直帰率が高い原因を探って」と投げるだけで、**「特定のページでAndroid端末のみ読み込み時間が極端に長いため、画像の遅延読み込み設定を疑うべき」**といった仮説まで提示してくれます。

2. コンテキストを理解した分析

これはMCP最大のアドバンテージのような気がします。AIはプロジェクト内の**「ソースコード」と「アクセス解析データ」の両方を参照することができます。** 例えば「この記事の熟読率が低い」というデータに対し、**「記事の構成を確認しましたが、導入文が長すぎて離脱を招いている可能性があります」**といった、内部構造を踏まえた分析が可能です。

3. 「データを見る」から「修正する」までのタイムラグがゼロ

通常は、分析ツールで課題を見つけたら、エディタを開き直し、該当ファイルを探し、修正コードを書く…という「移動」が発生します。 今回の環境では、チャットで「この離脱率の高いページを修正して」と頼むだけで、AIが該当ファイル(

page.tsx
など)を特定し、修正案を提示してくれます。「分析」と「実装」がシームレスにつながる体験は、正直驚きました。

連携のおおまかな流れ

MCPツールを動かすには、Google Cloud Platform (GCP) 側で適切な「鍵」を用意します。

  1. GCPプロジェクトとAPI有効化 Google Cloudで専用プロジェクトを作成し、**「Google Analytics Data API」**を有効化します。これがデータへの入り口になります。

  2. サービスアカウントと鍵の生成 認証用の「サービスアカウント」を作成し、JSON形式のキーファイルをダウンロードします。このファイルがAIにとっての身分証明書になります。

    ※注意: ダウンロードしたJSONキーファイルは、パスワードと同じ重要なものです。絶対にGitHub等のリポジトリにはアップロードしないでください(

    .gitignore
    に追加推奨)。

  3. GA4側での権限付与 鍵を作っただけでは動きません。サービスアカウントのメールアドレス(

    xxx@...iam.gserviceaccount.com
    )を、GA4管理画面の「プロパティのアクセス管理」で**「閲覧者」として招待**する必要があります。

  4. MCPサーバーの設定 Antigravity上の設定ファイル(

    mcp.json
    )に、鍵ファイルのパスとプロパティIDを記述します。

    ※注意: ここで入力するのは「G-」から始まる測定IDではなく、**数字のみの「プロパティID」**です(GA4のプロパティ設定画面で確認できます)。

    今回は

    uvx
    コマンドを指定しているため、サーバー本体のインストール作業は不要(実行時に自動取得)です。

実際にやってみたこと:分析から修正まで

上記の作業を終え、実際に運用中のプロジェクト内で指示を出してみました。

1. 「お宝記事」の発掘

「表示回数は少ないが、エンゲージメント率が高い記事」をリストアップさせたところ、埋もれていた良質なコンテンツが可視化されました。これを元にリライトの優先順位を決めることができます。

2. 分析結果をそのままコード修正へ

「タブレットでの離脱率が高い」という分析結果に対し、AIに**「原因の特定」と「修正コードの作成」**を依頼しました。 Antigravity内でCSSメディアクエリの修正案を提示し、ボタン一つでソースコードを書き換えました。 プレビューを確認すると、指摘通りレイアウトが修正されており、「分析→特定→修正」のサイクルが完了しました。

まとめ

エージェント型IDEと組み合わせることで、Webページ上の課題発見から解決策の提案、そして実行までをひとつの画面で完結できることに驚きました。 今回はシンプルなサイトでテストしてみましたが、複雑で大規模なサイトではどのような結果が得られるのか、今後も試してみたいと思います。